終末期医療で看護師が抱く心理的な重圧

病院、特に終末期の患者が多い現場において、避けて通れないのが死への立ち会いだ。看護師は、患者の最期に最も近い場所で寄り添う役割を担う。現代の医療技術は進歩しており、機械を用いて物理的に命を繋ぎ止めることも可能になった。しかし、管に繋がれて眠り続ける患者の姿を見る度、これが本当に本人にとって幸せなのだろうかと翻弄されることも多い。生かすための処置が患者に苦痛を与えているのではないかと感じ、自責の念に駆られる瞬間があるのだ。

家族の思いと本人の意思が食い違うことも、現場を悩ませる大きな要因となる。本人が静かな最期を望んでいたとしても、家族が一日でも長い延命を強く希望すれば、医療従事者はその声に応えざるを得ない。家族の深い悲しみを受け止めつつ、行っている処置の正当性に疑問を持ちながら業務にあたるのは精神的に過酷な作業だ。こうした心理的な重圧は、目に見えない形で心のエネルギーを削り取り、知らず知らずに共感疲労を引き起こす原因となる。

看取りの経験を重ねることで、形式的な対応には慣れるかもしれないが、一人の命が消える瞬間の重みは決して軽くなるものではない。家に帰っても患者の顔が思い浮かび、心が落ち着かない夜を過ごす人も少なくないだろう。こうした心の疲れを放置すれば、いつか燃え尽きてしまう危険性がある。大切なのは、自分一人で全ての感情を抱え込まないことだ。同僚と気持ちを分かち合ったり、専門的なサポートを借りたりして自分の心を守る術を身につけなければならない。患者の尊厳を守るには、ケアする側の心が穏やかで満たされていることが何よりも重要だ。

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